大阪で右 肩が流行っているらしいが
王様。王妃様がお戻りになり
ウンスの私室には叔母様とトクマン
アル。ミント。ヘジンとテマン
典医寺の仲間が残った。
「あの医仙様・・・」
「どうしたのポン?」
「はい。私決めました!春に薬医員の
試験を受けて見ようと」
「まぁ…決心したのね。ポンなら
きっと大丈夫よ。だってトギが
教えて要るんだもの…この開京で
トギが作る薬草の
右出るひとはいないわ…ふふふ」
「はい。そう思ってしっかり頭に
叩き込みました。調合を重ね
作ってみたい投薬もありますし・・」
「あら?どんな投薬を作って見たいの
かしら」
皆がポンの方に一斉に顔を向け
返答を待っている中に
ポンは頬を朱色に染めもじもじと俯く
トギが痺れを切らしポンの肩を叩き
指を動かす。
『ポン。言えない投薬か?』
「・・・あの・・以前典医寺で
雑談をされてた折・・医仙様の世では
惚れ薬なるものがあると・・」
「ぶぶっっ--」と茶を吹き出す
チェ尚宮と「え-----!」と
素っ頓狂な声を張り上げるウンス
間の悪い事にチェ尚宮の膝の上には
ソマンが座っていたのだ
吹き出した茶を頭から被り
ぶるぶると震え顔に滴る滴を
小さな手で懸命に拭っていた。
「すまぬ。ソマン…ウンス早よう
着替えを。風を引かせ
床に伏せることあらば一大事!
ウンス早よう」
焦る叔母にせかされ
ばたばたと伝統衣装を脱がせ
髪を手拭いで、ヨンが拭き
平素な衣を纏わせる
ソマンはさっぱりした顔はしては
いたが、ぷぅ~と頬を膨らませ
おばば様を睨み付けた。
「すまぬ。そう睨むでない
ソマンに睨まれたならこの婆は
泣くしかあるまい。」
顔を手で覆い泣き真似をしてみると
床に寝そべっていたソマンが
むくりと立ち上がりてくてくと
おばばの元へ行くと、よしよしと
頭を撫でるのであった。
「す、すみません。チェ尚宮様
私が余計な事を言ったばかりに」
「ポン・・・あれは戯れよ
実際惚れ薬など
天界でも存在しないもの。
私が余計な事を吹き込んだようね
ごめんなさい。」
「いいえ医仙様。きっと調合して
見せます。そして先に現れるかも
知れない殿方に、ひっそりお飲み頂き
アルさんやヘジンさんのように・・
勿論医仙様のように幸を掴めたらと」
「・・・困った子ね…でもトギと
ポンなら完成させてしまうかも
知れないわね・・・ふふふ」
ふと目をやればトクマンとアル
テマンとヘジン。二組本当に幸せそうに
見つめあっている。こんな幸を
掴めるならと錯覚に陥っても
仕方ないかとウンスは思う。
「そのような薬ができたとしてもだ
俺はウンスしか見ないがな・・」
「・・・め!」
つかさずソマンに叱られヨンは
罰が悪そうに後頭部を掻き
皆が笑いに包まれたところで
お開きとなった。
「お待たせ。様子はどうなの?」
「はい。奥方様…出仕するチュンソク
様を見送り、卓の後始末をしようと
した折、匂いが鼻に付き厠へ
走ったそうにございます。」
「・・・そう。チュンソクさん
もしかするかもよ。診させて貰うわ」
ウンスはそう呟くと意味深な笑みを
浮かべる。「はて?…サムは病なのか」
と、チュンソクは困惑顔をし
ヨンに瞳を向ける。
そして二人は、門先に出迎えに
出たチュンソクに断りを入れると
屋敷の中へと脚を踏み入れる。
使用人もおらず馬の世話から
賄いまできっちりこなし
屋敷の中は塵ひとつ落ちては居なかった
「初めてお邪魔するけどすごいわね
完璧にこなしてるんだ・・・
見習わなきゃ・・」
「ウンスには、皆の命を救うと言う
お役目がある。無理をせず・・
よいな・・」
「は~い。で、サムさんはどちらに?」
「奥方様。お疲れの所すみませぬ
こちらに・・・」
客間に通されるとイルムとサンミが
笑みを浮かべている。
「あら。二人は当に見当が付いてる
ようね…ふふふ」
「はい。奥方様…兄妹がたくさん
いますから」
「奥方様・・・サムは・・サムは重い
病なのでございますか?」
「ちょっと待ってて。貴方と
チュンソクさんは廊下で待っててね
ソマンをお願いね」
おのこ二人と幼子が閉め出され
チュンソクの不安は益々募る。
チェ家のように、長い廊下では
ないが、何度も往復しそわそわと
落ち着かない様子だ。
「チュンソク!落ち着け。俺まで
落ち着かぬ。」
「煩いわよ。診脈出来ないじゃない」
と、中からウンスの声がすると
ソマンが腕を伸ばし母を恋しがる
「暫し待てるな。母は大事なお役目中
故・・・」
そう優しく解くと、ソマンはぐっと
堪えるように唇を噛み締める。
「サムさん起き上がれるかしら」
「はい・・」
「イム侍医だったら横になったままで
十分診脈できるけど、私はまだ苦手で
ごめんなさいね。手のひらを開いて
もらえるかしら」
ウンスは神門に手を指を添え
尺骨動脈にそっと触れ瞳を閉じる。
「ころころ盆を転がるような脈
ふふふ…滑脈がはっきり現れてるわよ
おめでとう。サム」
「え?・・・」
サムはそう声を出すのが精一杯で
あった。あとは顔を両手で覆い
泣き崩れてしまう。
「入って構わないわよ。」
慌ただしくチュンソクが客間を開け
サムのそばへと寄り添い肩を抱く。
「おめでとうございます。
チュンソクさん。そうね…
この冬にはお父さんになるのよ」
「・・・サム…真か?赤子ができたと」
「ウンスが然程慌てておらぬ故
よもやと思うておったが
チュンソク。お前もとうとう・・・
そうか。そうか。めでたい!
そうであろう。ソマン」
ウンスの隣に、胡座座りをするヨンに
すっぽり収まっていたソマンが
抜け出し四つん這いになりながら
サムの元まで行くと
サムの頭をぽんぽんと撫でる。
その優しさに
サムはより一層声をあげ嬉し泣きをする
のであった。
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日本があぶない!右 肩の乱
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マフムートは犬鷲使い。《犬鷲のマフムート将軍》と呼ばれてます。犬鷲イスカンダルも色々な場面で活躍しますかっこえ~


